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【税理士が解説】青色申告と白色申告の違い|開業時に失敗しない申告方法の選び方

2025.12.17独立・起業

Contents

はじめに

これから個人事業主・フリーランスとして開業を考えている方にとって、

事前に確定申告の準備をしておくことは、開業後の経営を大きく左右しかねない程に重要です。
開業時は、売上づくりや集客、仕事の準備などに追われ、どうしても目の前の業務を優先しがちです。

その結果、
• 開業届や青色申告承認申請書といった税務手続き
• 将来の確定申告を見据えた記帳・会計体制の準備
• 開業費や経費をどう扱うべきかという基本的な税務判断といった事業の土台となる税務・会計の準備を後回しにしてしまう方が少なくありません。

開業支援のご相談を数多くお受けしてきた税理士として、実際の現場で次のようなお悩みや失敗を多く目にします。

・何から手続きを始めればいいのか分からない
・開業後しばらくしてから、確定申告が必要だと知り焦ってしまった
・青色申告を選べば節税できたのに、申請期限を過ぎてしまった
・開業費や経費の処理を自己流で進め、後から修正できなくなった

これらはいずれも珍しいケースではなく、開業初期に正しい税務指導を受けていれば防げた可能性が高い失敗例です。
開業時は「まだ売上が少ないから」「もう少し事業が軌道に乗ってから」と考え、税理士への相談を先延ばしにしてしまう方も多いですが、実はその判断こそが後々の負担につながります。

開業初年度の処理や申告内容は、将来の税金・資金繰りだけでなく、
融資審査にも影響を及ぼすため、最初の一歩をどう踏み出すかが非常に重要なのです。

青色申告で申告をするのかそれとも白色申告で申告をするのかは、単なる申告方法の違いではなく、
将来の税負担や事業の安定性、さらには資金繰りにも影響する重要な判断となります。

私は税理士として数多くの開業支援に携わってきましたが、
継続して事業を行う予定があるのであれば、原則として青色申告を選ぶべきだと考えています。

青色申告が基本となる理由

青色申告が「基本」とされる最大の理由は、事業者にとって有利な税務上の特典が制度として体系的に整えられている点にあります。これは単なる節税テクニックではなく、事業を継続・成長させることを前提に設計された仕組みであり、税理士の立場から見ても、開業時にぜひ活用すべき制度だと言えます。

代表的なものが、最大65万円の青色申告特別控除です。

一定の要件を満たし、日々の取引を複式簿記により正しく記帳したうえで、期限内に確定申告を行うことで、所得から最大65万円を差し引くことができます。この控除は、所得税だけでなく住民税にも影響するため、実際の税負担軽減効果は非常に大きく、「青色申告を選んだだけで、年間数十万円の差が出る」ケースも決して珍しくありません。

また、青色申告の大きな特徴として、赤字を最長3年間繰り越せる制度があります。

開業初年度や事業拡大期は、設備投資や広告宣伝費、仕入れなどの支出が先行し、一時的に赤字になることはむしろ自然な流れです。

この赤字を翌年以降の黒字と相殺できる仕組みは、資金繰りや将来の税負担を考えるうえで非常に心強く、
事業を継続していくための「保険」のような役割を果たします。

さらに、家族に事業を手伝ってもらっている場合には、
要件を満たせば青色事業専従者給与として家族への給与を経費として計上できる点も見逃せません。

白色申告では金額や条件に厳しい制限があるため、同じ家族経営であっても、申告方法の違いによって効果に明確な差が生じます。この制度を適切に活用することで、世帯全体での税負担を抑えることも可能になります。

これら青色申告の制度は、「その年だけ得をする」というものではありません。
数年単位、あるいは事業のライフサイクル全体で見たときに、手元に残るお金を大きく左右する要素です。

また、開業時点で青色申告を選択し、正しい記帳体制を整えておくことは、青色申告の特典だけでなく、
融資や補助金申請においても信頼性の高い数字を残すこととなります。

事業を本業として継続し、将来的な成長を見据えているのであれば、青色申告を選択することは節税のためだけではなく、経営を安定させ事業の信頼性を担保するための重要な戦略の一つだと思います。

白色申告が向いているケースとは

  1. 青色申告が多くの事業者にとって有利な制度である一方で、白色申告にも一定の役割があることは事実です。まず、白色申告が適しているケースは限定的であると考えます。
    白色申告が向いている代表的なケースとして挙げられるのが、ごく短期間のみ行う事業です。    
    たとえば、期間限定のイベント出店や、単発の業務委託など、「今年限りで終了することが明確な事業」の場合には、
    青色申告のために事前申請を行い、記帳体制を整える負担が見合わないケースもあります。  

    このような場合、白色申告のシンプルな仕組みが現実的な選択となることがあります。
    また、売上や利益が極めて小さい副業レベルの事業も、白色申告が検討対象となるケースです。

    特に、家族への給与支払いがなく、赤字の繰越しも不要で、将来的な事業拡大を想定していない場合には、白色申告の簡易性が優先されることもあります。

    ただし、注意すべき点として、「簡単そうだから」という理由だけで白色申告を選ぶのは非常に危険です。

    実務の現場では、「最初は副業のつもりだったが、思った以上に売上が伸びた」
    「白色申告のまま数年が経過し、青色申告に切り替えるタイミングを逃してしまった」といった相談を数多く受けています。

    白色申告を選択した場合、青色申告特別控除や赤字の繰越しといった重要な制度が使えず、
    結果として不要な税金を支払ってしまうケースも少なくありません。

    そのため、事業を継続的にすすめていくうえにおいては、
    白色申告はあくまで「一時的」「例外的」な選択肢と捉えることが重要です。tax return

    迷われた場合は、早い段階で税理士に相談し、
    自身の事業に最適な申告方法を選ぶことが、後悔しない開業・確定申告への近道と言えるでしょう。

    愛媛県松山市の田中貴宏税理士事務所では、
    個人事業主、法人設立して間もない事業者の創業支援をしております。

    個人事業主の確定申告でお困りの方は、お気軽にご相談下さい


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